印籠を持つと男は強くなる

川柳徒然草
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ステータスに、しがみつきたくなるのは、人間の弱さかもしれない。

水戸黄門の決めセリフは「この紋所が目に入らぬか!」といって、‘三つ葉葵の印籠’を掲げる。
たいがいの‘悪人’は、恐れ入って頭を下げる。
印籠とは、薬などを携帯するための小さな容器のことである。
’悪代官’ほどの者が、単なる印籠などに頭を下げるはずがない。
’葵のご紋’が入った印籠だから、仕方なく頭を下げている。
印籠にある’葵のご紋’の後ろにある、徳川将軍の威光が恐ろしいからだ。

黄門様は、天下の副将軍だから、そんなものに頼らなくてもそれなりの権威は持っている。
しかし、ドラマにするのに年寄りの黄門様に’悪人ども’が平伏するのは‘絵’にならない。
したがって、‘印籠’が出てくる。
老人に頭を下げるのではなく、’権威’に頭を下げていることを強調するための、イメージ作戦である。

黄門様の印籠は、建前とか威厳、あるいは七光りを抽象化しているが、
大概の人が、権威には、従ってしまう傾向にあるらしい。

アメリカの心理学者ロバート・B・チャルディーニは『影響力の武器』で、’権威効果’を述べている。
権威効果とは、‘地位’とか’肩書’によって、その人物や発言内容に対する評価が高く歪められてしまう心理効果 のことである。
つまり、ある人が言ったこととか行なったことで評価するのではなく、どのような人が言ったのか、行なったのかが重視されることである。

研究の結果では、権威効果が認められている物には、肩書きとか服装があるようだ。
さらに、車とか時計なども大きな影響を持っているらしい。
そのうちきっと、パソコンにひれ伏す時代がやって来るのだろう。