酒を飲む理由は、何時でも、何処でも見つかる。
何が何でも見つけ出す。
およそ1200万年前、木の上で暮らしていたゴリラ、チンパンジー、人間といった一部の類人猿にだけに、突如とても強いアルコール分解遺伝子が出現した。
おそらく、運良く地面に落ちた完熟果実を見つけても、糖分が自然に発酵してアルコールに変化していたら、酔っぱらって強い動物に襲われてしまうはずだ。
その状況から逃れるために、アルコール分解遺伝子が生まれ、それを持った個体だけが子孫を残すことになった。
しかし不思議なことに、東アジアでは今から2000年くらい前に、アルコールに弱い遺伝子を持つ体質の人間が生まれている。
稲作と関係あるらしい。
摂取されたアルコールは体内で酵素に分解され、毒性のあるアセトアルデヒドが残る。
アセトアルデヒドはALDH2という酵素の働きで無害な酢酸となり、さらには二酸化炭素と水に分解され酔いが覚める。
ALDH2には活性が強いタイプ、弱いタイプ、そして活性がまったくないタイプの三つの型がある。
お酒に強いといわれるのは、活性が強いタイプのALDH2を持っており、活性が弱いタイプ、まったくないタイプの持ち主は、お酒に弱いといわれる。
非活性型はモンゴロイドだけに見られる。
日本人は45%くらいが低活性型か非活性型だと考えられている。
つまり日本人のおよそ半数が、酒に弱いという‘進化’したタイプのようだ。