「尻に火が付く」という言葉をよく聞く。
行動心理学に、行動遅延傾向という言葉がある。
やらなければならない課題や仕事を、ぎりぎりになるまでやらないで放っておいたり、そのために完成できなかったりすることである。
つまり、‘先延ばし’だ。
シカゴのデポール大学心理学教授ジョセフ・フェラーリは、成人の約20%が‘先延ばしの常習犯’だと言っている。
そして、習慣的に先延ばしをする人の心理的特徴を、自尊心の低さだと指摘している。
フェラーリ教授の研究によると、物事を先延ばしにする人には、2つのタイプがある。
決めるまで時間がかかる人と、行動に移すまで時間がかかる人である。
決められないタイプは他人への依存心が強く、決断を下す時に人に頼りがち。
人の言いなりになりやすく、決めたことがうまく行かないと責任をほかの人に転嫁したがる。
行動までに時間がかかるタイプは、自己評価が低い人が多いとのこと。
自分で決めるところまではできるのだが、実際の行動が伴わないという。
かれは、「不安」と「先延ばし」は手をつないで行動しているとも言っている。
目の前の課題に対して恐れや「不安」を感じると、「闘争・逃走反応」を司る脳の扁桃体が活発化し、高次機能の中枢と言われる前頭前皮質が機能しなくなるらしい。
明確な目標を持ち、物事に前向きに取り組む積極的な意欲を持つことが、不安を取り除く最大の要素のようだ。