「肘掛付き椅子は管理職から、革張りは取締役から」という、不思議なしきたりが多くの会社にある。
つまり、‘肘掛椅子’は何らかの役職についていることを意味している。
しかし、やっと権限を持つ役職に就いたが、その重圧に潰されて胃潰瘍になった、という話を耳にすることも多い。
‘権限’とは、他者の‘選択や意思決定’を代行するという、裁量を持っていることである。
ちなみに、自分のことを自分で決められることが‘権利’だ。
他人の意思決定を代行するのだから、それなりの責任が伴うので、プレッシャーがかかるのは当然だろう。
肘掛け椅子は英語でarmchairといい、「机上の、実経験を伴わない」という意味がある。
つまり、実際の経験を伴わない、実情に疎い、机上の空論を振りかざすことである。
armchair criticは、口先だけの批評家のことだ。
批評の対象となる人物ほど経験を積んでいないのに、肘掛け椅子に座ったままで、自ら行動を取ることはなく、論評する人である。
テレビの解説者にも、それらしい人がだいぶいるようだ。
armchair travelは、肘掛け椅子に座ったまま、旅行に関する本やテレビ番組を見て、旅行に行った気分になることである。
いまや、ネットで行きたい場所の情報がいくらでも手に入る。
グーグルマップやストリートビューを通せば、簡単に旅行した気分になれる。
何もかも、閉鎖的になっている今の時代に、自由に世界中を旅行できるのは素晴らしい。