栃木県・足利市の最勝寺(大岩毘沙門天)に「悪口(あくたい)まつり」がある。
江戸時代から続く伝統行事だ。
大晦日の晩から元旦の未明にかけて、修験者の法螺貝の音に先導され、1年間積もった鬱憤を「バカヤロー!」などと叫んで発散しながら、山頂の本堂を目指す。
日頃のストレスを解消し、新しい気持ちで年を迎えるにはもってこいの祭りだとされている。
心の中にたまっていた言葉にならないもやもやした感情を、何かをきっかけに吐き出し、解放させることを「カタルシス」という。
語源は古代ギリシアの医学用語といわれており、‘浄化’や‘排泄’を意味する。
「カタルシス効果」は、寂しさ・悲しみ・辛さ・苦しさといった不安やネガティブな感情が、話をすることですっきりした気分になり、不安や緊張などの症状がなくなることである。
「心中を吐露する」という言い回しがある。
心中で考えていることを述べ、本心を率直に話し、打ち明けることである。
つまり、今まで言い出せなかったことや隠していたこと、話せずにいたことを‘時期を待って’話すというニュアンスがあり、やっとの思いで口に出す、時期を見計らって思い切って話すという意味合いが強く込められている。
いずれの例も、心の中のもやもやを口に出すことで、気持ちがすっきりとなることを示している。
すっきりした気持ちで飲む酒は、美味いに決まっている。