にわか雨ちょうど飲み屋の前で降る

川柳徒然草
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にわか雨に会うのは、‘不思議’に帰宅中が多い。
そんな時には’不思議’に、縄のれんの「生ビール大200円」などと書いたポスターが目に入る。
運が良いと言うべきか悪いと言うべきか、どうしても、足がそちらに向いてしまう。

たいがいこんな時の店内は、いつも以上に混雑している。
そして、‘不思議’に飲み仲間が雨宿りしている。
ついこの間一緒に飲んだばかりなのに、久しぶりに会ったと言いながら、にわか雨に感謝してビールで乾杯をする。
天候の話や、当たり障りのないテレビ番組の話などから始ま。
その間に、‘不思議’にいつもの飲み仲間が、雨宿りに押し掛けメンバーがそろう。
完全に、いつもの飲み会になってしまい、話題もあちこちに広がり始める。
政治家になったつもりで、天下国家を論じあう。
評論家になったつもりで、ひいきの野球チームの戦い方を解説する。
芸術談義を始めることもある。
たまには、会社の愚痴もこぼす。

雨はなかなかやまないなあ、なんて言いながらぐずぐずと粘る。
途中で妻に、急な打ち合わせが入ったから、少し遅くなると電話する。
周りがにぎやかですねと言われたら、ちょうど休憩中で、皆でがやがややっているところだと言っておく。
気を付けて帰ってきてくださいね、といつも通りの心遣いを受ける。
しっかり事情は読まれていると思うが、内々で妻の承認を得た気になり、一安心である。
こうして、雨が止んだのかどうかは構わない状態になり、‘雨宿り’は続く。

本降りになって出てゆく雨宿り」という古川柳があるが、雨宿り中だったことも忘れる。
そして、‘ちょうど’終電車の頃まで、雨宿りは続く。

にわか雨のとき、いつも飲み屋の前にいるという‘不思議’な体験について、心理学を研究していた友人に聞いてみた。
すると、君が普段から飲みたい飲みたいと思っているから、それが脳に刷り込まれているためだよ、と言われた。
のん兵衛の脳には、酒屋とか飲み屋への関心が強く刷りこまれているらしい。
そのため、常にその方向へアンテナが向いているから、たくさんの情報の中から、’酒関連’の情報を上手く拾い出してくるのだという。
つまり、飲みたい飲みたいと思っていると、飲める機会につながる情報を潜在意識のアンテナが優先的に見つけてくれるらしい。


したがって、この現象はのん兵衛に固有の現象であり、一般的ではないようだ。
特に‘不思議’な現象でもない、とも言われた。

にわか雨と飲み屋の関係から、また一つ勉強できた