‘遠雷’は、夏の季語である。
夕立の前、急に風が涼しくなって、遠くでゴロゴロと音がする、というイメージである。
積乱雲は発達すると、中で氷の粒がぶつかり合い、静電気を起こす。
静電気は、積乱雲の中でプラスとマイナスが偏って溜まる。
この偏りを、元に戻そうとして発生するのが‘雷’である。
雷は、主なものとして三種類ある。
真夏の ‘入道雲’から発生する「熱雷」。
大気の’前線‘に添って発生する「界雷」。
低気圧や台風の中心付近などの、上昇気流の活発なところに発生する「渦雷」である。
雷は周りの空気の温度を一瞬にして、太陽の表面温度の約5倍3万℃に熱し、一気に膨張する。
その時の衝撃が周りの空気に伝わり振動させ、ものすごい音を発生させる。
近くの落雷は「バーン!」や「バリバリッ!」という音に聞こえる。
遠方の落雷は、雲や山などに反響して「ゴロゴロ」と聞こえる。
落雷地点までの距離(m)は、「340(m/秒)×光ってから音が聞こえるまでの時間(秒)」で計算できる。
したがって、10秒後にゴロゴロと音が聞こえたら、3400m離れていることになる。
「稲妻と雷鳴の間隔が空いていたら安全」といわれている。
しかし、積乱雲の大きさはだいたい十数キロある。
たとえ3.4km先で落雷があっても、頭上まで積乱雲が延びていたら、次の瞬間には自分の頭上に落雷する可能性がある。
雷鳴が聞こえたら、すぐに安全な場所に避難することが大切だ。