「腹八分目に医者いらず」と言われるが、腹八分目とは、食事を適度な量で食べることを指している。
満腹感を我慢して、健康に留意するということだろう。
ちょっとストイックな感じがする。
せっかくの食事だから、おいしく、気兼ねなく頂きたい。
中国の古典医学書『黄帝内経』に書かれている言葉が、由来とされている。
わが国では、江戸時代の医師・貝原益軒の著書『養生訓』から、一般に知られるようになった。
『養生訓』には、「珍美の食に対するとも八九分にして止むべし」と記されている。
美味いものに出会っても、少し食べるのもたくさん食べる同じ楽しみなのだから、八分目九分目で止めておきなさい、ということだ。
腹八分目にすると、胃腸に負担がかからないため、消化不良や胃もたれなどの症状を防ぐことができる。
腹八分にすることで、カロリーや糖質の過剰摂取を抑え、肥満や生活習慣病の予防にもなる。
腹八分に食べることで、心身のバランスを保つことができ、心の健康をサポートすることにもなる。
腹八分目に抑えることで、考えられるメリットを以下に挙げてみる。
体重を減らすことができる
エネルギー消費量を増やすことができる
筋肉量を増やすことができる
代謝を改善することができる
便秘を改善することができる
肌をきれいにすることができる
気分を良くすることができる
ストレスを軽減することができる
これらの結果として、寿命を延ばすことができるということで、まさに‘良いことばかり’だ。
ところが、「腹八分目」を守るには、一つ大問題がある。
腹八分目に抑えるためには、自分がどのくらい食べたかや何を食べたかを、自分で管理しなければならない。
腹八分目とは、満腹を10としたときの8程度の状態である。
しかし、この感覚は人それぞれ異なる。
また、胃の中に食べ物が詰まった状態になってから、脳が満腹だと認識するまでに、時間差もある。
問題は、「少しお腹が膨れてきた」との感じ方である。
自分が、どのくらい食べたかや何を食べたかを管理しておかねばならない。
個人差がかなりあるようで、スマートフォンのアプリやSNSなどを使って、食事の内容を記録する方法などが推奨されている。
コルセットやベルトなどで体を締め付ける方法も、挙げられている。
しかし、自分の腹のことは自分が一番わかる。
しかも、腹にすき間がある状態で、’満腹感’を持てと言われても、なかなか納得できない。
そこで、『養生訓』から良い言葉を見つけた。
貝原益軒は、からだを養うものを選んで食べなさい、と言っている。
さらに、酒は天の美禄(よいさずかりもの)であり、少し飲めば役にたつ、とも言っているのだ。
つまり、貝原益軒が言いたかったことは、腹八分目の体を養うものを食べ、残りの二分に天の美禄である酒を‘適量’足すと良いと言っているようだ。
まさに、わが意を得たりということで、益軒の言葉を都合よく解釈して、食事は腹八分にとどめ、残りの二分は酒で埋めて満足している。
「人生100年時代」に、長い残り人生を送るためには最高のアドバイスではないだろうか。
「酒は百薬の長」である。
健康に悪いはずがない、と信じている。
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